坂東 雅:演目ご紹介


 

京人形

(きょうにんぎょう)

 

 

更新日:2014.05.05

 

 

 


常磐津。初演:天保14年(江戸市村座、四代目中村歌右衛門,十二代目市村羽左衛門ほか)、作詞:桜田治助。作曲:四代目4世岸沢式佐

 左甚五郎は江戸時代の彫刻の名人。彼にまつわる噂は数多くあり、日光東照宮のねむり猫や上野不忍池お堂の龍がが動き出した、などということから「彼の作る京人形なら踊るだろう」というお話が出来たものと思われます。今回の舞踊は甚五郎の作った郭の太夫に似せた京人形が入れられていた箱の中から動き出し、懐に太夫が落とした手鏡を入れると太夫が乗り移ったかのような仕草をする、という筋書きです。
 甚五郎が人形が動いたことで驚く第一段、ただ動くだけではもの足りず太夫の魂を入れようとする第二段、郭でのお遊びのごとく連れだって踊る第三段、さらに懐から鏡が落ちて太夫から男に戻った人形が面白く一緒に踊り興じる第四段、しかし女らしさを取り戻させたくなって鏡を懐に戻し寄り添う第五段、と話が進むにつれての甚五郎の心の動きを人形を演ずる茜翠の動きと絡めつつ表現してゆく楽しさをご覧になる皆様に上手くお伝えできるかに腐心いたしました。。


「第9回つぼみ会」(国立劇場小劇場、主催:坂東愛 平成26年5月5日)にてご披露いたしました。

 前回第8回つぼみ会(東京・国立劇場小劇場、平成23年4月3日)にて坂東茜翠(長女)と三社祭で共演いたしましたが、今回は茜翠の京都(坂東温子先生)への移動もあり、二人で交互に東京と京都を往復してのお稽古となりました。これまでのフィジカルな訓練が必要な演目と異なり、大阪弁での台詞回しが必要な役柄とあって、念仏のようにセリフを唱える毎日でした。


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