静と知盛 (しずかととももり)
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長唄。河竹黙阿弥作詞、三代目杵屋正次郎作曲。
「静と知盛」は、歌舞伎の名曲「舟弁慶」から主役が扮する静御前と平知盛幽霊の二役を抜き出し、前シテでは静御前の舞を能衣装にて、後シテでは平知盛幽霊を素踊りでお見せするという趣向となります。源義経をシンボライズする座が舞台右側に置かれます。本来の歌舞伎「舟弁慶」では義経・弁慶と主従が舞台におり、兄頼朝から追われる運命となった義経が静御前に都に戻るよう諭し、別れの杯を交わしつつ都の名所を踊って欲しいと頼み、それに応えて前シテで静御前が烏帽子を付けて舞い始めます。都の四季折々の風情が春から夏・秋・冬へとテンポを変えながら進み、最後に静は烏帽子を落とし別れの時を噛みしめます。さて、後シテで素踊りの衣装で登場するのが歌舞伎では怖い出で立ちとなる平知盛。過ぎし日の合戦で義経に追い込まれ大錨を持ち上げて入水し果てた後の亡霊です。義経一行が船出するのを嵐を起こして阻止しようとします。「いかに義経」との花道での台詞が本来舞台にいるはずの義経に投げかけられているのです。荒れ狂う波の上で薙刀を振りかざす怒りの権化となった知盛を全力で表現いたしました。
一篇の中で女性の凜としつつもたおやかな面と男性の勇ましさ・荒々しさを踊り分けました。
「第88回女流名家舞踊大会」(国立劇場大劇場、主催:東京新聞 平成25年2月17日)にてご披露いたしました。
これまで平成16年より7年間、東京新聞社の推薦名流舞踊会に参加いたしておりましたが、本年度より女流名家舞踊大会に参加させていただくことになりました。
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