年増 (としま) 更新日: 2008.09.23 |
常磐津、作詞:三代目桜田治助、作曲:五代目岸澤式佐・四代目常磐津文字太夫
天保十年(1839)江戸中村座初演
春の隅田川、花の散る夕暮れに、深川の芸者あがりの若くて美しい囲われ者:お柳(雅)が、駕籠をおりて、旦那の浮気をつきとめようと待ち伏せます。見どころは、「コリャ聞きどころ」からの嫉妬喧嘩のくだりで、“しゃべり”となり、向こう三軒両隣りまでも巻き込んだ派手な痴話喧嘩のありさまを面白おかしく踊りこみます。「悋気(りんき)さんすりゃ」からの一節を、端唄調の三下りにして、その前後の気分を変える工夫もされており、ここはもと深川芸者の粋と意気地の見せどころとなります。恋敵の女と自分とを一人二役で演じる仕方話の部分、手拭や駕籠の敷物を使って三味線や琴に見立てるなど、細かい工夫も見どころとなる舞踊です。
常磐津は人間国宝の常磐津栄寿先生が弾いてくださいました。
年増とは、中年の女性をさす言葉ですが、江戸時代の年齢感覚で言えば、娘は十代まで、二十歳をすぎると年増、三十歳前後から中年増、四十歳を越せば大年増というのが常識でした。したがって、本舞踊『年増』の主人公の「お柳」は、二十代半ばというところと思われます。そうした「うんといいオンナ」を演じられるよう、頑張ってみました。
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