医師がすすめるお薬の飲ませ方

*これは、院内配布されたものを掲載しています

Vol. 003

2002.02.04発行

編集人:目々澤肇

禁無断転載

 お子さんに初めて薬を飲ませるときは大変です。シロップだけならともかく、粉薬が混じるとよほどのお子さんでない限り大騒ぎになるはずです。また、「最初は飲めていたのに物心が付いたら飲まなくなった」ということもよくあるようです。


 たいていの親御さんたちが犯す間違いは、「好きな飲み物に薬を混ぜる」という飲ませ方です。これだと、全量のお薬を飲ませるためにかなりの量の水分を採らせなければならず、いかに好きな飲み物であってもお子さんは「いつもと違う」事に気づき、途中で飲まなくなってしまい、結局お薬を飲み残すことになってしまいます。


 お薬を飲ませることになったら、まずお子さんに「このお薬を飲んで、病気を治そうね」と(たとえ言葉がしゃべれなくても)よく言い聞かせてください。これから飲ませようとするものがいつもの飲み物と違う、重要な意味を持つことを宣言してあげるわけです。そして、お子さんが薬をちゃんと飲めたら、(大げさに)ほめてあげることを忘れずに。こうすることによって、お子さんに「良いことをした」という認識をあたえてあげることができ、次にお薬をうまく飲ませることに繋がるのです。


 シロップだけでお薬が出たら、1回の必要量を薄めずにお猪口かスプーンでお口に入れてしまいます。お上品に「すすらせる、のませる」などの方法で飲ませていると途中で「ブー」と吹き返すことがおおいようです。どうしてもいやがるときは、乱暴ですが、斜め上を向かせて口を開けさせ、口の中に注ぎ込んでもかまいません。そののち、口をがっちりと閉じて一呼吸。のど仏が動いたのを確認すれば、もう薬は飲み込めています。


 粉薬にはふたとおりの種類があります。抗生物質に多い「ドライシロップ」は、水に溶けやすいため、できれば一緒に出されるシロップと混ぜ、先ほどの飲ませ方で飲ませてください。もう一種類は、下痢止めなどの「粉剤」です。これは、パフパフして大人でも飲みにくく、お子さんに飲ませるのは一大事です。この場合、粉を袋からお猪口などの小さな容器にあけ、水をポタポタと滴下させ、練るようにしてできれば「丸薬」にしてしまいます。これをお子さんの口に放り込んで、好きな飲み物でぐっと飲ませてしまいます。もし水を入れすぎてしまった場合、小指の先でとってお子さんの頬の内側に塗りつけ、すぐに好きな飲み物で飲み込ませるのです。


 乱暴なようですが、お子さんに「薬はおいしくないが飲まなければならない」ことを認識させ、「だまして飲ます」ことのないようにすることが重要です。また、大人の薬は「食前」「食後」を守ることが重要ですが、お薬をいやがるお子さんやお薬が初めての場合は食前で飲ませた方がよいようです。


 当院では、だいたい体重が20kgに達したお子さんは錠剤に切り替えるようにしています。小学校に上がるのをメドに、サプリメントなどの小さい錠剤を使って練習を始めることをお勧めいたします。この場合たいてい1日2回の服用になるため、学校などで昼食の際にお薬を飲まなくて済む、というメリットもあります。


 頑張ってお薬を飲ませましょう。


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