50歳以降のダイエット

*これは、院内配布されたものを掲載しています

Vol. 006

2002.08.05発行

編集人:目々澤肇

禁無断転載

ダイエットの方法なんて、掃いて捨てるほど世間にはあるし、わざわざウチの印刷物で書かなくてもいいように思うのですが、患者さんには何回も何回も同じことを話しているため、一度きっちりパンフレットを作っておけば後で楽をできるんじゃないか.....などと考え、書き始めてしまいました。なお、この方法は主として糖尿病や高脂血症(コレステロールや中性脂肪が高くなる病気)でなかなか体重の落ちない50歳以降の方を対象にしています。


●まず大切なのは意志!
ダイエットは苦しいものです。まして、今回の方法は普通の量を食べられません。また、「食べ物を残すとバチが当たる」と教わった世代には抵抗があるはずです。でも、ダイエットをしなくてはならない状況にある患者さんにはそんなことはもう言っていてはいけない「禁句」なのです。


●ご飯はちゃんと食べましょう
ダイエットを心がける方のほとんどが犯す間違いが「ご飯の制限」です。たしかに、ご飯は「糖」の補給源であり、糖尿病には悪そうに見えます。しかし、糖分は栄養素の中で言えば「すぐに燃焼させられるエネルギー」であり、「脳に到達する唯一のエネルギー」なのです。したがって、「朝・昼はご飯を抜きます」などというダイエットをしていると、ボケの誘発をすることになり、また「足りないエネルギーを他の貯蔵型栄養素でとってしまう」ことになってしまいます。ご飯は、普通のお茶碗で1杯ずつ、1日3食とも採りましょう。そうすることによって、最低限のエネルギーの底入れができ、空腹をしのぐことができます。ちなみに、糖尿病の患者さんを教育入院させてみると、たとえ1日1500カロリーの食事でも、「どんぶり飯」がでてくるため、誰もがみな、目を白黒させて「私はいつもこんなに食べていない」と言い出すのです。実は、そのくらいご飯による糖分補給は大事なのですが、とりあえずは「普通のお茶碗1杯」ということにしておきます。


●おかずは普通の1/2!
では、どこで食事を減らすのか?それは、「おかず」です。10〜20代の頃はカラダをつくる時期のため、肉・魚を中心に十分なタンパクの摂取が必要です。でも、50歳を過ぎると、毎日の消耗により失われる分だけ補えば十分になってきます。ということは、例えば、魚の切り身で言えば通常スーパーで売られている切り身の1/2もあれば十分、ということになります。付け合わせを含めて、約10センチほどの直径のお皿にのるだけあれば十分です。もしも、普通に盛りつけられたお料理が出てきたら、半分はきっちり残す「ガマン」が必要です。また、「これは美味しそうなので他を食べないで一品全部いただこう」などと考えていては大間違い。すべての品目を半分ずつ、きちんと残しましょう。また、先付けや小鉢は原則、ナシということにしてください。お料理をつくってくれた人に気兼ね?「お医者に半分残せといわれているの」と言ってください。


●栄養のバランスは?
普通の1/2量のおかず、それも小鉢も先付けもないお料理でどうやって栄養のバランスをとるのだ、と反論される方も多いと思います。でも、ビタミンやタンパクなどのバランスは1日分の食事の中でとればいいことです。たった1食の献立のなかで「あれも、これも」と考えないこと。目安としては「ご自分が1日でどれだけカラダを動かしたか?」を考えてみましょう。30歳頃までの運動量の1/3も動ければたいしたものです。ですから、実は「おかず1/2でもまだまし」のはずなのです。


とてもアバウトなダイエットですが、これが実現できれば出されたものをみな味わうこともでき、ほかのご家族と同じものが食べられます。でも、もしこれでも効果がなければ、「おかずをさらに減らして普通の1/3に!」。

ご参考までに:

札幌郊外の「開拓の村」に保存されている、「ニシン御殿」旧青山家漁家住宅の中に展示されていた、当時の漁師さんたちのお膳です。ご飯はお代わりできたそうですが、お汁は1杯、お総菜は一皿のみ。これでもかなりの労働が可能でした。やはり、現代の人たちはグルメしすぎているのではないでしょうか。


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