藤木 脳卒中は後遺症が残るのが怖い病気だというイメージを持っていますが。
目々澤 確かに後遺症は懸念されるでしょう。直った後に最小限の障害で済むようにするのが脳卒中の治療だと考えていますが、そのためにも手足に力が入りにくい、しゃべれないといった初期の症状を見逃さないことが非常に大切です。どんな症状に気をつけるべきか示したポスターを掲示するなど、啓蒙活動に努めると共に、些細な症状であっても相談していただけるようなファミリードクターを目指しています。当院ではCTを設置していますからまずは迅速に検査を行います。もちろんCTでは変化が出ない場合もありますが、専門医の経験上、危ない様子なのか様子をみていいものなのか、きちんとした判断ができると自負しています。
藤木 地域の医院では大病院との連携も大切だとお聞きしましたが。
目々澤 その通りです。緊急の患者さんをいつでも受け入れてもらえて、しかもこちらの思った通りの治療をしてもらえる病院との連携を深めているところです。
藤木 高齢化社会ですから、ホームドクターの役割も大きくなっているのでは。
目々澤 ええ、地元の医院としては、まず患者さんが来院しやすくなければいけないでしょう。当院では日常の血液検査でもデータの写しを患者さんにお渡ししています。悪い数値には赤線を引いて「ここを治しましょう」と注意を促し、よい数値の箇所にはOKなどと書いておくと、とても喜んでいただけるのですよ。そうやって患者さんとの良い関係をつくっていきたいと考えています。ホームドクターとしてのもう一つの役目が予防です。脳卒中には病気になる前の段階として、症状のない脳梗塞:無症候性脳梗塞というのがあります。これに対して治療をしなくてもいいという意見もありますが、私は経過観察をして小さな梗塞が増えてくる場合には本番の脳梗塞がおきないよう血液をさらさらにするお薬を処方しています。